世田谷区での暮らしを考えたとき、その広さゆえにどこを選べば良いか迷いますよね。
実は、理想の暮らしを見つけるには自分に合ったエリアの特徴を正しく理解することが何よりも大切になります。
この記事では、世田谷区が東京23区で最も広い理由を、6つの町村が合併して誕生した歴史からひも解きます。
さらに、個性豊かな「北部」「東部」「南部」の3エリアの特徴を比較し、あなたの価値観に合う街探しのヒントを届けます。
- 世田谷区が23区で一番広い歴史的な理由
- 北部・東部・南部エリアごとの街の特徴と比較
- 自分たちの暮らしに合う街を見つけるためのヒント
「なるほど!ただ広いだけじゃなくて、歴史を知るとエリアごとの違いも納得できるんですね。
これなら、私たちに本当に合う街が見つかりそうです。」
世田谷区が広い理由、6つの町村が合併した歴史
世田谷区が東京23区で最も広い理由は、その成り立ちにあります。
6つの個性豊かな町と村が、2段階にわたって合併して誕生した歴史的背景こそが、現在の広大な区の形をつくりました。
この合併の歴史を知ることで、エリアごとに街の雰囲気が異なる理由も理解できます。
| 年代 | 合併・編入された町村 |
|---|---|
| 1932年(昭和7年) | 世田谷町、駒沢町、松沢村、玉川村 |
| 1936年(昭和11年) | 砧村、烏山町 |
この成り立ちが、ただ広いだけでなく、多様な文化や街並みを持つ世田谷区の魅力を生み出す源泉となっています。
東京23区で最大の面積という事実
まず知っておきたいのは、世田谷区が東京23区で最も面積が広いという事実です。
その面積は58.05平方キロメートルにもおよびます。
東京23区の面積ランキングで2位の大田区は59.46平方キロメートル(水面部分を除く陸地部)ですが、法令上の面積では世田谷区が最大です。
この数字からも、世田谷区の広大さがよくわかります。
この広さがあるからこそ、ゆとりのある公園や緑地が区内に多く点在するのです。
1932年の東京市編入による世田谷区の誕生
世田谷区の誕生は、1932年(昭和7年)にさかのぼります。
これは、当時の東京市が周辺の82町村を編入し、市域を拡大した大きな出来事でした。
この「大東京市」の成立に伴い、現在の世田谷区の母体となる4つの町村が合併し、東京35区の一つとして「世田谷区」が誕生しました。
この時点ですでに広大な区でしたが、現在の形になるまでにはもう一つのステップがありました。
旧世田谷町・駒沢町・松沢村・玉川村の合併
1932年の合併では、個性的な4つの町村が集まりました。
世田谷町、駒沢町、松沢村、玉川村が一つになったことが、世田谷区の基盤を築いたのです。
それぞれの町村は、現在の世田谷区の各エリアにその名残をとどめています。
| 旧町村名 | 現在の主なエリア |
|---|---|
| 世田谷町 | 世田谷、三軒茶屋、下馬 |
| 駒沢町 | 駒沢、上馬、野沢 |
| 松沢村 | 赤堤、松原、梅丘 |
| 玉川村 | 二子玉川、等々力、奥沢 |
これらの地域が持つ独自の歴史や文化が、合併後も引き継がれ、現在の世田谷区の多様な街の表情をつくり出しています。
1936年の砧村・烏山町の編入と現在の形
世田谷区が現在の広さになった決定的な出来事が、1936年(昭和11年)の追加編入です。
この時、新たに砧村と烏山町が世田谷区に加わりました。
この2つの町村は、もともと北多摩郡に属していましたが、東京市への編入を希望し、世田谷区の一部となりました。
この編入によって、西側と北側に大きく区の領域が広がり、東京23区で最大の面積を持つ現在の世田谷区の形が完成したのです。
広大な農地が住宅地へと変化した背景
合併前の世田谷エリアは、そのほとんどが畑や田んぼ、雑木林といった広大な農地で占められていました。
都心からほど近い立地でありながら、のどかな田園風景が広がっていたのです。
戦後の高度経済成長期になると、都心で働く人々のベッドタウンとして、この広大な土地に住宅地の開発が急速に進みました。
1970年の大阪万博の頃には、かつての農地は整然とした住宅街へと姿を変え、多くの人々が暮らす街へと発展しました。
元々の土地が広大であったことが、質の高い住宅地を数多く生み出す土壌となったのです。
【3エリア別】広大な世田谷区の特徴と自分に合う街の探し方
6つの町村が合併した歴史を持つ世田谷区は、エリアごとに全く異なる魅力を持っています。
まるで小さな国の集合体のようなこの区の中から、あなたのライフスタイルに合う街を見つけることが、理想の暮らしへの第一歩です。
ここでは、あなたの街探しがスムーズに進むよう、世田谷区を大きく3つのエリアに分けて、それぞれの特徴を解説します。
| エリア | 特徴 | 代表的な街 | おすすめな人 |
|---|---|---|---|
| 北部エリア | 落ち着いた住宅街と独自の文化が共存 | 下北沢、経堂、千歳烏山 | 穏やかな環境と文化的な刺激を両立させたい人 |
| 東部エリア | 都心へのアクセスと活気あふれる街並み | 三軒茶屋、駒沢大学、用賀 | 通勤の利便性と都会的な暮らしを重視する人 |
| 南部エリア | 豊かな自然と洗練された住環境 | 二子玉川、成城学園前、等々力 | 自然の中で落ち着いた暮らしを長く続けたい人 |
それぞれのエリアの雰囲気を知ることで、あなたが本当に求める暮らしのヒントが見つかります。
北部エリア、落ち着いた住宅街と独自の文化の共存
京王線や小田急線が走る北部エリアは、昔ながらの商店街が残る閑静な住宅街と、演劇や古着といった独自の文化が共存する点が大きな特徴です。
下北沢のような個性的な街がある一方で、一歩路地に入ると静かな住環境が広がっており、穏やかな日常と文化的な刺激の両方を求める方にぴったりな場所といえます。
経堂の「経堂農大通り商店街」や千歳烏山の「えるもーる烏山」など、活気のある商店街が多く点在しているのも魅力です。
リモートワークの合間に近所を散策したり、休日に個性的なカフェを開拓したりと、地域に根差した暮らしを楽しめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な沿線 | 京王線、小田急線 |
| 街の雰囲気 | 落ち着いた住宅街、活気のある商店街、サブカルチャー |
| 代表的な街 | 下北沢、経堂、千歳烏山 |
| 向いているライフスタイル | 地域密着、文化的な活動、静かな環境での暮らし |
穏やかな住環境を重視しながらも、休日は近所で新しい発見を楽しみたい、そんなクリエイティブな方に心地よいエリアです。
東部エリア、都心へのアクセスと活気あふれる街並み
東急田園都市線や世田谷線沿線に広がる東部エリアは、渋谷をはじめとする都心へのアクセスの良さと、おしゃれで活気のある街並みが最大の魅力になります。
三軒茶屋駅から渋谷駅までは急行で1駅、約4分で到着するため、通勤時間を短縮したい方から高い人気を集めています。
三軒茶屋のような賑やかな繁華街から、駒沢オリンピック公園周辺の緑豊かな落ち着いた環境まで、同じエリア内でも多様な顔を持っています。
トレンド感度の高いレストランやショップも多く、仕事帰りや休日の外食や買い物を楽しみたい方にとって、充実した毎日を送れる環境が整っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な沿線 | 東急田園都市線、東急世田谷線 |
| 街の雰囲気 | 都会的、活気がある、おしゃれ、交通至便 |
| 代表的な街 | 三軒茶屋、駒沢大学、用oga |
| 向いているライフスタイル | 都心への通勤重視、トレンドに敏感、アクティブな休日 |
利便性を第一に考えながら、都会的なライフスタイルを楽しみたい方に最適なエリアです。
南部エリア、豊かな自然と洗練された住環境
東急大井町線や田園都市線が利用できる南部エリアは、多摩川の河川敷や等々力渓谷など、東京23区内とは思えないほど豊かな自然に恵まれている点が特徴です。
成城学園前などに代表される品格のある住宅街が広がり、落ち着いた雰囲気の中で暮らすことができます。
二子玉川駅周辺には洗練された商業施設が集まっており、遠出をしなくても買い物を完結させられます。
自然と都市機能がバランス良く融合したこのエリアは、特に子育て世代からの支持が厚く、将来の家族計画を見据えて長く住める場所を探している方に適しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な沿線 | 東急大井町線、東急田園都市線 |
| 街の雰囲気 | 自然豊か、閑静な住宅街、洗練されている、ファミリー向け |
| 代表的な街 | 二子玉川、成城学園前、等々力 |
| 向いているライフスタイル | 自然の中でのリフレッシュ、落ち着いた暮らし、長期的な居住 |
休日は公園や川辺でリフレッシュし、平日は落ち着いた環境で過ごしたいと考える方に、理想的な住環境を提供します。
数字で見る世田谷区の広さ、面積・人口・地形のデータ
「広い」というイメージを具体的な数字で裏付けることが大切です。
面積だけでなく、人口や地形といった多角的なデータを見ることで、世田谷区の規模感や特徴を客観的に把握できる点がポイントになります。
| 項目 | 世田谷区 | 大田区 |
|---|---|---|
| 人口(2024年4月時点) | 約94万人 | 約73万人 |
| 人口密度(人/km²) | 約16,177人 | 約12,056人 |
| 公園数 | 425箇所 | 531箇所 |
これらのデータから、世田谷区が広大な面積に多くの人々が暮らす、緑豊かな住宅地であることが数字の上からもわかります。
世田谷区の面積58.05平方キロメートル
世田谷区の面積は58.05平方キロメートルです。
これは東京23区の中でトップクラスの面積を誇ります。
この広さは、東京ドーム約1,240個分に相当し、JR山手線の内側の面積(約63平方キロメートル)に匹敵するほどの大きさです。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 総面積 | 58.05km² |
| 東西の長さ | 約9.2km |
| 南北の長さ | 約9.5km |
| 周囲の長さ | 約44.2km |
単に数字が大きいだけでなく、区内を移動するにも時間がかかるほどの広がりを持っていることが、このデータから理解できます。
東京23区の面積ランキング、2位大田区との比較
東京23区の面積を比較すると、世田谷区は長年にわたり最大の面積を持つ区として知られてきました。
現在、測量方法の変更などにより順位に変動が見られますが、ここでは23区内で同じく広大な面積を持つ大田区と比較してその特徴を見ていきます。
世田谷区の面積58.05平方キロメートルに対し、大田区は約60.83平方キロメートルです。
数字上は大田区が上回りますが、世田谷区は人口が約20万人も多く、住宅地としての密度が高いという違いがあります。
| 比較項目 | 世田谷区 | 大田区 |
|---|---|---|
| 面積 | 58.05km² | 60.83km² |
| 人口(2024年4月1日現在) | 939,077人 | 733,381人 |
| 人口密度 | 16,177人/km² | 12,056人/km² |
面積の広さだけでなく、人口やその密度を比較することで、大田区が工業地帯や羽田空港を含む一方、世田谷区は純粋な居住エリアとして発展してきた背景が浮かび上がってきます。
約94万人が暮らす人口と人口密度
世田谷区の人口は、2024年4月1日時点で約94万人に達します。
これは東京23区の中で最も多い人口であり、一つの県としても鳥取県全体の人口(約54万人)を大きく上回る規模です。
人口密度は1平方キロメートルあたり約16,177人となります。
この数値は23区中では8位と比較的高く、広大な面積の中に多くの人々が暮らしていることを示しています。
| 順位 | 区名 | 人口(2024年4月1日現在) |
|---|---|---|
| 1位 | 世田谷区 | 939,077人 |
| 2位 | 練馬区 | 741,496人 |
| 3位 | 大田区 | 733,381人 |
このように、世田谷区は23区で最大の人口をあわせ持つ区であり、それだけ多くの人々を惹きつける魅力がある地域だと言えます。
公園や緑地が多い地形の特徴
世田谷区の地形は、武蔵野台地の南端に位置しており、全体的になだらかな台地と、国分寺崖線(こくぶんじがいせん)と呼ばれる高低差のある崖が特徴です。
区内には砧公園や駒沢オリンピック公園をはじめとする400以上の公園が存在し、緑被率(緑で覆われている面積の割合)も23区内で3位と高い水準を誇ります。
| 公園・緑地の名称 | 特徴 |
|---|---|
| 砧公園 | 広大な芝生広場と世田谷美術館を併設 |
| 駒沢オリンピック公園 | スポーツ施設が充実した大規模公園 |
| 等々力渓谷公園 | 23区内で唯一の渓谷で自然散策が楽しめる |
| 馬事公苑 | 馬とのふれあいやイベントが開催される場所 |
高低差のある地形が生み出す豊かな自然と、計画的に配置された多くの公園が、住宅街の中に安らぎと潤いを与えているのが世田谷区の大きな魅力です。
まとめ
この記事では、世田谷区が東京23区で最も広い理由を、6つの町村が合併した歴史からひも解きました。
広大な区の中から理想の暮らしを見つけるためには、エリアごとの個性的な特徴を深く知ることが何より大切になります。
- 世田谷区が広い歴史的な理由
- 北部・東部・南部エリアごとの街の特徴
- データから見る世田谷区の規模と魅力
この記事で紹介した北部・東部・南部の特徴を参考に、まずは気になるエリアに足を運んで、街の空気を肌で感じてみてください。