日常の忙しさを忘れて、静かで美しい場所に癒されたいと感じていませんか。
東京の駒込・西ヶ原エリアに佇む旧古河庭園は、重厚な洋館と華やかなバラ園、そして静寂な日本庭園がひとつになった特別な場所です。
この記事では、大正ロマンが香る旧古河庭園の詳しい見どころから、春と秋のバラの見頃、写真撮影に役立つ散策モデルコース、アクセス方法や料金といった訪問計画に欠かせない情報を網羅して紹介します。
この記事でわかること
- 洋館と2つの庭園の詳しい見どころ
- 春と秋、それぞれのバラの見頃
- 写真撮影を楽しむ半日モデルコース
- アクセスや料金などの基本情報
旧古河庭園の概要-洋館と2つの庭園が織りなす歴史的空間
旧古河庭園は、東京都北区西ヶ原に位置する都立庭園です。
武蔵野台地の地形を巧みに利用し、趣の異なる3つの要素が見事に調和している点が、この庭園の大きな魅力です。
高台の洋館、斜面の洋風庭園、そして低地の日本庭園が一体となり、訪れる人々に多彩な景色を見せてくれます。
| 項目 | 洋館・洋風庭園 | 日本庭園 |
|---|---|---|
| 設計者 | ジョサイア・コンドル | 7代目 小川治兵衛(植治) |
| 様式 | 西洋式(イギリス・フランス・イタリア) | 日本伝統の回遊式 |
| 主な特徴 | バラが咲き誇る華やかな空間 | 心字池を中心とした静寂な空間 |
| 配置 | 武蔵野台地の高台と斜面 | 低地 |
大正時代から続く歴史的な空間で、西洋と東洋の美しさが融合した独特の雰囲気は、他の庭園では味わえません。
武蔵野台地の地形を活かした庭園構成
旧古河庭園は、武蔵野台地の高低差をそのまま活かして設計されている点が大きな特徴です。
高台に洋館を建て、日当たりの良い南向きの斜面に洋風庭園を、そして低地には日本庭園を配置しています。
この立体的な構成により、散策しながら次々と異なる景色を楽しめます。
一つの敷地内で、視点が変わるごとに全く違う表情を見せてくれるのです。
この巧みな土地利用が、庭園全体の奥行きと物語性を深めています。
ジョサイア・コンドル設計の洋館と洋風庭園
洋館と洋風庭園は、鹿鳴館などを手掛けた英国人建築家ジョサイア・コンドルによって設計されました。
洋館は天然スレート葺きの屋根と安山岩で覆われた外壁が重厚な雰囲気を醸し出し、その南側斜面には左右対称のフランス式庭園と立体的なイタリア式庭園の技法を合わせたバラ園が広がります。
洋館とバラが調和した景色は、まるで絵画のようです。
大正ロマンの香りが漂うこの空間は、訪れる人々を優雅な気分にさせてくれます。
京都の庭師小川治兵衛が手掛けた日本庭園
低地に広がる日本庭園は、近代日本庭園の先駆者として知られる京都の庭師、7代目小川治兵衛(植治)が作庭しました。
「心」の字をかたどった心字池を中心に、枯滝や雪見灯籠、大滝などが巧みに配置されています。
池に映る木々の緑や秋の紅葉は、都会にいることを忘れさせるほどの静けさと美しさです。
洋風庭園の華やかな雰囲気から一転して、しっとりとした和の趣を感じられる空間が広がります。
国の名勝としての歴史的価値
旧古河庭園は、大正初期の庭園の姿を今日に伝える貴重な文化財として、2006年に国の名勝に指定されました。
「名勝」とは、芸術上または観賞上価値が高い土地として国が指定した文化財のことです。
西洋と日本の異なる様式の庭園が、建設当時のまま損なわれることなく一体として残っている例は全国的にも珍しいと評価されています。
時代を超えて受け継がれてきた歴史的な空間を、ぜひ肌で感じてみてください。
旧古河庭園の見どころ7選-バラや洋館から日本庭園まで
旧古河庭園の魅力は、洋館、洋風庭園、日本庭園という全く異なる様式が、一つの空間で見事に調和している点にあります。
それぞれのエリアが持つ独自の美しさを順番に味わえるため、まるで短い旅をしているかのような豊かな体験ができます。
| 見どころ | 特徴 | 設計者/作者 | 特に美しい季節 |
|---|---|---|---|
| 洋館 | 天然スレート葺屋根と赤レンガの重厚な建物 | ジョサイア・コンドル | 一年中 |
| 洋風庭園 | 約100種200株のバラが咲き誇る幾何学模様の庭 | ジョサイア・コンドル | 春 (5月〜6月) / 秋 (10月〜11月) |
| 日本庭園 | 心字池を中心に趣ある景観が広がる回遊式庭園 | 小川治兵衛 | 新緑 (初夏) / 紅葉 (秋) |
| 春バラの見頃 | 一年で最も庭園が華やぐ季節 | — | 5月中旬〜6月下旬 |
| 秋バラと紅葉 | 色濃く香りの高いバラと紅葉の美しい共演 | — | 10月中旬〜11月下旬 |
| 四季の表情 | 新緑や雪景色など季節ごとに異なる趣 | — | 通年 |
| 口コミ・写真 | 訪問者が切り取ったリアルな庭園の魅力 | — | 通年 |
各エリアが持つ個性的な美しさを体感しながら散策することで、訪れるたびに新しい発見があります。
1. 大正ロマンの面影を残す重厚な洋館
旧古河庭園のシンボルである洋館は、鹿鳴館などを手掛けた英国人建築家ジョサイア・コンドルによって設計された、大正ロマンの香りを今に伝える貴重な建築物です。
天然スレート葺きの屋根と、赤褐色の煉瓦に覆われた外壁が重厚な雰囲気を醸し出しており、1917年(大正6年)に竣工してから100年以上の歴史を刻んでいます。
内部の見学は事前予約が必要ですが、外からその美しい佇まいを眺めるだけでも、まるで時が遡ったかのような感覚を味わえます。
2. 約100種200株のバラが咲き誇る洋風庭園
洋館の南側斜面に広がる洋風庭園は、左右対称のフランス幾何学式庭園と、石積みが特徴のイタリア露壇式庭園の要素を取り入れたテラス式庭園です。
園内には「プリンセス・ミチコ」や「マリア・カラス」など、約100種200株もの色とりどりのバラが植えられており、甘い香りが庭園全体を包み込みます。
バラと洋館を一枚の写真に収めるアングルは特に人気が高く、訪れる人々を魅了する美しい景観を作り出しています。
3. 心字池を中心とした静寂の日本庭園
洋風庭園から一歩足を踏み入れると現れる日本庭園は、京都の庭師・七代目小川治兵衛(植治)が作庭した、静寂に包まれた空間です。
「心」という漢字をかたどった心字池(しんじいけ)を中心に、枯滝や見晴台、雪見灯籠などが巧みに配置されており、池の周りを巡りながら景色の変化を楽しめます。
洋風庭園の華やかさとは対照的な、落ち着いた和の風情が心を和ませてくれます。
4. 春バラの見頃と春のバラフェスティバル
1年で最も庭園が華やぐ季節が、5月中旬から6月下旬にかけての春バラの見頃です。
冬の間に蓄えた養分で咲く春バラは、秋バラに比べて花が大きく、色彩も鮮やかなのが特徴で、庭園全体が生命力に満ち溢れます。
見頃の時期には「春のバラフェスティバル」が開催され、コンサートや夜間ライトアップなどが行われることもあり、多くの人で賑わいます。
5. 秋バラと紅葉の美しい共演
10月中旬から11月下旬に見頃を迎える秋バラは、春バラとはまた異なる魅力を持っています。
秋バラは、昼夜の寒暖差によって花の色が濃く鮮やかになり、香りも豊かになるのが特徴です。
この時期は日本庭園の紅葉も見頃を迎え、洋風庭園のバラと日本庭園の紅葉という、贅沢な秋の景色を一度に楽しむことができます。
6. 新緑や雪景色など四季折々の表情
旧古河庭園の魅力は、バラの季節だけにとどまりません。
季節ごとに移り変わる自然の表情が、訪れるたびに異なる感動を与えてくれます。
例えば、初夏には日本庭園の木々が生き生きとした新緑に包まれ、冬に雪が積もれば、洋館や灯籠が雪化粧を施された幻想的な風景に変わります。
どの季節に訪れても、その時期ならではの美しさがあり、カメラを構えたくなるような瞬間に出会えます。
7. 訪問者による口コミや写真
実際に旧古河庭園を訪れた人々は、どのような感想を持っているのでしょうか。
SNSなどに投稿されたリアルな声や写真は、訪問計画を立てる上で参考になります。
「洋館とバラの組み合わせが絵画のよう」「日本庭園で心が洗われた」「アクセスが良く、都会のオアシス」といった口コミが多く見られます。
洋館とバラ園の組み合わせが本当に素敵でした。ヨーロッパの庭園に来たみたいで、どこを撮っても絵になります。バラの時期は混んでいますが、見る価値ありです!
日本庭園の静けさが好きで、時々散歩に来ます。心字池を眺めているだけで、日常の疲れが癒されます。六義園とのセット券もお得でいいですね。
このように、多くの人が洋館と庭園が織りなす独特の雰囲気に魅了されていることが分かります。
写真撮影を楽しむ旧古河庭園の半日散策モデルコース
写真撮影を目的に旧古河庭園を訪れるなら、光のコンディションを意識して巡る順番が何より重要です。
洋館、洋風庭園、日本庭園、それぞれの魅力を最大限に引き出すための半日プランを紹介します。
これから紹介するモデルコースを参考に、あなただけの特別な一枚を撮影してみてください。
六義園との共通チケット「園結び」の活用
もし1日で二つの名園を巡りたいと考えているなら、六義園との共通入園引換券「園結び」を利用するのがおすすめです。
旧古河庭園と六義園、二つの庭園をそれぞれ個別に入園すると合計450円かかるところ、このチケットを使えば400円で購入でき、50円お得になります。
時間に余裕がある日に、趣の異なる二つの日本庭園をじっくり鑑賞したい方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
午前-光が美しい洋館とバラ園の撮影
撮影のスタートは午前中、特に開園直後の午前9時過ぎが理想的な時間帯です。
この時間はまだ来園者が少なく、洋館の正面が順光になるため、建物の重厚なディテールやバラの鮮やかな色彩を美しく写し出せます。
テラスからバラ園を見下ろす構図や、バラを前ボケにして洋館を撮るなど、様々なアングルを試しながらお気に入りの一枚を探しましょう。
朝の澄んだ空気の中で、心ゆくまでシャッターを切る時間は格別です。
昼食-駒込駅や西ヶ原駅周辺のランチスポット
午前中の撮影を楽しんだら、ランチで一息つきましょう。
園内にはレストランがないため、食事は一度外に出てとる必要があります。
JR山手線の駒込駅や東京メトロ南北線の西ヶ原駅の周辺には、昔ながらの定食屋からおしゃれなカフェまで、様々なお店がそろっています。
庭園から駅までは徒歩7分から12分程度なので、その日の気分に合わせてお店を選べます。
午後-日本庭園での心静かな散策
午後は趣を変えて、静寂に包まれた日本庭園を散策します。
午後の傾きかけた光が、庭園に美しい光と影のコントラストを生み出し、午前中とは全く違う表情を見せてくれます。
心字池の水面に映り込む木々や、苔むした雪見灯籠、枯滝の石組みなど、和の風情あふれる被写体には事欠きません。
木漏れ日を効果的に使って撮影すると、静けさの中に潜む生命力を表現できます。
洋風庭園の華やかさとは対照的な空間で、心を落ち着けながら散策を締めくくりましょう。
旧古河庭園への訪問前に知るべき基本情報
旧古河庭園への訪問を計画する上で、事前に知っておくと当日をスムーズに過ごせる情報があります。
特に、開園時間や休園日、アクセス方法をあらかじめ確認しておくことは、限られた時間を最大限に楽しむために欠かせません。
このセクションでは、訪問前に押さえておきたい基本的な情報をまとめました。
これらのポイントを把握しておけば、心に余裕を持って美しい庭園散策を満喫できます。
開園時間と休園日
旧古河庭園を訪れる際は、まず開園時間と休園日を確認することが大切です。
開園時間は午前9時から午後5時までとなっており、最終入園は閉園の30分前である午後4時30分です。
季節の花々や光の移ろいをゆっくり楽しむためにも、時間に余裕を持った計画をおすすめします。
休園日は年末年始(12月29日〜1月1日)のみなので、ほとんどの期間で開園しているのが嬉しい点です。
入園料と各種割引情報
旧古河庭園の入園料は、手頃な価格で設定されています。
一般料金は150円で、この価格で洋館と2つの美しい庭園を鑑賞できるのは大きな魅力といえます。
65歳以上の方は70円で入園可能です。
小学生以下、そして都内在住・在学の中学生は無料なので、ご家族での訪問にも適しています。
| 区分 | 一般 | 65歳以上 |
|---|---|---|
| 個人 | 150円 | 70円 |
| 団体(20名以上) | 120円 | 50円 |
その他にも、六義園との共通入園券「園結びチケット」や年間パスポートも用意されています。
また、みどりの日(5月4日)と都民の日(10月1日)は無料公開日となるため、訪問のタイミングを合わせるのも良いでしょう。
最寄り駅からのアクセス方法と所要時間
旧古河庭園は公共交通機関でのアクセスが便利で、複数の駅から徒歩圏内にあります。
利用する路線によって最寄り駅が異なりますが、どの駅からも徒歩15分以内で到着できます。
ご自身の出発地から最もアクセスの良いルートを選んでください。
| 鉄道会社 | 路線名 | 最寄り駅 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| JR東日本 | 京浜東北線 | 上中里駅 | 徒歩7分 |
| 東京メトロ | 南北線 | 西ヶ原駅 | 徒歩7分 |
| JR東日本 | 山手線 | 駒込駅 | 徒歩12分 |
駒込駅からは少し歩きますが、駅周辺にはカフェや飲食店も多いため、散策前後の休憩にも便利です。
専用駐車場の有無
旧古河庭園には、来園者用の専用駐車場はありません。
そのため、訪問の際は電車やバスなどの公共交通機関を利用することが推奨されています。
車で訪れる場合は、周辺のコインパーキングを探す必要がありますが、収容台数に限りがあることや、バラのシーズンには満車になる可能性も考慮しておきましょう。
確実でスムーズなアクセスを考えるなら、公共交通機関の利用が最適です。
混雑する時期や時間帯の傾向
静かな環境で写真撮影や散策を楽しみたい方は、混雑する時期を把握しておくことが重要です。
旧古河庭園が最も賑わうのは、バラの見頃を迎える5月中旬から6月と、10月中旬から11月の土日祝日です。
これらの時期は多くの人で混雑するため、ゆっくり鑑賞したい場合は平日の訪問を検討しましょう。
特に平日の午前中は、比較的落ち着いて庭園の美しさを堪能できる時間帯です。
洋館内部の見学方法と事前予約の必要性
庭園のシンボルである洋館の内部を見学するには、特別な手続きが必要です。
洋館内部は現在、大谷美術館によって管理されており、見学は往復はがきによる事前予約制となっています。
庭園の入園料とは別に、洋館の入館料も必要です。
見学を希望する場合は、訪問予定日から余裕を持って大谷美術館の公式サイトで詳細を確認し、申し込み手続きを進めてください。
事前の準備をしっかり行うことで、大正ロマンの雰囲気漂う館内を堪能できます。
イベント情報とライトアップの有無
旧古河庭園では、四季折々の魅力をさらに楽しむためのイベントが開催されることがあります。
特に有名なのが、春と秋のバラのシーズンに合わせて行われる「バラフェスティバル」です。
この期間中は、音楽会などの催しが開かれたり、夜間にはバラのライトアップが行われたりすることもあります。
ライトアップされた夜の庭園は、昼間とは全く異なる幻想的な雰囲気に包まれます。
イベントの開催日程や内容は年によって異なるため、訪問前には必ず公式ウェブサイトで最新の情報を確認しましょう。
園内での写真撮影に関する注意点
美しい風景が広がる旧古河庭園は絶好の写真撮影スポットですが、撮影にはいくつかのルールがあります。
来園者全員が快適に過ごせるよう、モデルやコスプレを伴う撮影会、許可のない商業目的の撮影は禁止されています。
また、バラのシーズンなど園内が混雑している時期には、安全確保のため三脚や一脚の使用が制限されることがあります。
他の来園者の迷惑にならないよう配慮しながら、ルールを守って撮影を楽しみましょう。
まとめ
この記事では、旧古河庭園が持つ洋館、洋風庭園、日本庭園それぞれの見どころから、バラの見頃、おすすめの散策コースまで詳しく解説しました。
武蔵野台地の地形を活かし、趣の異なる3つの空間が見事に調和している点が、この庭園ならではの最大の魅力です。
- 洋館・洋風庭園・日本庭園という3つの異なる魅力
- 春と秋に咲き誇るバラの見頃と特徴
- 写真撮影に最適な半日モデルコース
この記事を参考に訪問計画を立て、次の休日には旧古河庭園へ足を運び、美しい景色に癒される一日を過ごしてください。