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【完全ガイド】東京上野の世界遺産|国立西洋美術館の見どころと回り方

国立西洋美術館の魅力を最大限に引き出す秘訣は、建物そのものが世界遺産の芸術作品であると知ることです。

作品をただ眺めるだけでなく、建築家の意図やコレクションの背景を知ることで、鑑賞体験は何倍も深まります。

この記事では、近代建築の巨匠ル・コルビュジエが設計した空間の楽しみ方から、モネの『睡蓮』をはじめとする珠玉のコレクション、見どころを逃さないモデルコースまで、訪問前に知りたい情報をわかりやすく解説します。

この記事でわかること

目次

国立西洋美術館の鑑賞がもっと楽しくなる事前知識

国立西洋美術館を訪れる前に知っておくと、鑑賞体験が何倍も豊かになります。

その秘訣は、建物そのものが世界に誇る芸術作品であること、そしてコレクションの核となる「松方コレクション」の物語を理解しておくことです。

この2つの視点を持つだけで、作品をただ眺めるだけではない、深い対話が生まれます。

これらの背景知識は、美術館での時間をより意味のあるものに変えてくれるコンパスのような役割を果たします。

近代建築の巨匠ル・コルビュジエ設計の建物という芸術

国立西洋美術館の本館は、近代建築の三大巨匠の一人、ル・コルビュジエが設計した、日本で唯一の建築物です。

彼は「無限成長美術館」という構想を掲げ、美術館が将来的に拡張していくことを見越した設計を施しました。

その独創性と普遍的な価値が認められ、2016年7月には「ル・コルビュジエの建築作品」の一つとして世界文化遺産に登録されました。

建物そのものを一つの作品として鑑賞することで、展示されている絵画や彫刻とはまた違った感動を味わえます。

実業家・松方幸次郎の情熱が宿る松方コレクション

この美術館の礎を築いたのが、実業家・松方幸次郎が収集した「松方コレクション」です。

彼は「日本の人々に本物の西洋美術を見せたい」という強い想いから、第一次世界大戦中の1916年から約10年間で、私財を投じて数千点もの美術品をヨーロッパで買い集めました。

コレクションは戦争や経済危機など多くの困難に見舞われましたが、その一部が戦後にフランスから寄贈返還され、国立西洋美術館の設立につながったのです。

作品一つひとつに込められた松方幸次郎の情熱を感じながら鑑賞すると、絵画がより一層生き生きと見えてきます。

効率よく楽しむための鑑賞ルートの重要性

国立西洋美術館の常設展は、中世末期から20世紀初頭までの西洋美術の流れを追体験できる素晴らしい構成になっています。

しかし、見ごたえがあるからこそ、無計画に巡ると時間内にすべてを見きれなかったり、主要な作品を見逃したりする可能性があります。

鑑賞の所要時間は約90分から120分が目安ですが、事前にルートをイメージしておくと、限られた時間の中で満足度の高い鑑賞ができます。

自分の興味に合わせて鑑賞計画を立てることが、美術の世界を心ゆくまで楽しむための第一歩です。

見逃せない必見ポイント|世界遺産の建築と珠玉のコレクション

国立西洋美術館を訪れるなら、単に作品を鑑賞するだけではもったいないです。

この美術館の最大の魅力は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエが設計した世界遺産の建築空間を体感できることにあります。

建物そのものが芸術作品であり、その中で珠玉の西洋美術コレクションと対話する。

この二つの体験が重なることで、鑑賞の深みは格段に増すのです。

これらのポイントを事前に知っておくことで、どこに注目すれば良いのかが明確になります。

建築家の意図や作品の背景を感じながら館内を巡れば、きっと忘れられない時間となるでしょう。

建築の見どころ|来訪者を迎えるピロティと光あふれる19世紀ホール

国立西洋美術館の建築を理解する上で欠かせないのが、ピロティという建物を支える柱です。

この構造により1階部分が開放的な空間となり、人々をスムーズに館内へと誘います。

まるで建物が軽やかに浮いているかのような印象を与え、訪れる人の期待感を高めてくれます。

エントランスを抜けると、三角形の天窓から自然光が降り注ぐ「19世紀ホール」が広がります。

ここから渦巻き状に展示室を巡る構造は、ル・コルビュジエの「無限成長美術館」という思想の表れです。

将来コレクションが増えても、カタツムリの殻のように外側へ展示室を増築していけるという画期的なアイデアを体感できます。

作品だけでなく、光の取り入れ方や空間の広がり、スロープを上がっていくときの目線の変化など、建築家が仕掛けた演出を全身で感じてみてください。

彫刻の見どころ|前庭に佇むロダンの地獄の門と思考する人

美術館の建物に入る前に、まず前庭で足を止めてみましょう。

ここにはフランス近代彫刻の巨匠、オーギュスト・ロダンの作品が展示されており、コレクションの重要な柱となっています。

特に目を引くのが、高さ5メートルを超えるブロンズ像『地獄の門』です。

ダンテの『神曲』地獄篇から着想を得ており、門の表面には苦悩する180以上もの人物像がひしめき合っています。

その圧倒的な迫力と緻密な表現には、思わず息をのむでしょう。

有名な『考える人』は、もともとこの門の最上部を飾る一部として制作されました。

前庭は無料で鑑賞できるエリアです。

美術館の序章として、ロダンが描き出す壮大なドラマの世界にじっくりと浸る時間も、ここでの楽しみ方の一つです。

絵画の見どころ|クロード・モネの睡蓮と西洋美術史を彩る名画

国立西洋美術館の絵画コレクションの中核をなすのは、実業家・松方幸次郎が収集した「松方コレクション」です。

特にフランスの印象派をはじめとする近代絵画のコレクションは充実しています。

その中でも必見なのが、クロード・モネの『睡蓮』です。

横幅が2メートルにも及ぶ大画面に描かれた水面のきらめきと色彩は、観る人を幻想的な世界へと引き込みます。

他にも、ピーテル・パウル・ルーベンスの生命力あふれる大作『豊穣』や、エル・グレコの独創的な宗教画など、西洋美術史を彩る巨匠たちの名画がそろっています。

中世末期の板絵から20世紀初頭の絵画まで、時代を追って展示されているため、美術様式の移り変わりをたどりながら鑑賞できます。

企画展|オルセー美術館所蔵展など期間限定の特別な展示

企画展とは、常設展とは別に、特定のテーマや芸術家に焦点を当てて期間限定で開催される展覧会を指します。

いつ訪れても新しい発見と感動に出会えるのが、この企画展の魅力です。

過去にはパリのオルセー美術館やロンドンのナショナル・ギャラリーなど、世界の著名な美術館が所蔵する名品が一堂に会する大規模な展覧会も数多く開催されてきました。

常設展では見られない貴重な作品と出会える絶好の機会です。

開催内容は時期によって変わるため、訪問前には必ず公式サイトをチェックしましょう。

興味のあるテーマの企画展に合わせて訪れることで、より満足度の高い鑑賞体験ができます。

モデルコースで巡る国立西洋美術館のおすすめの回り方

国立西洋美術館を最大限に楽しむためには、巡る順番がとても大切です。

このモデルコースでは、世界遺産である建築と珠玉のコレクションの両方を効率よく、そして深く味わうための回り方を5つのステップで紹介します。

この流れに沿って鑑賞することで、初めて訪れる方でも見どころを逃すことなく、満足度の高い時間を過ごせます。

STEP1|前庭の彫刻と世界遺産の建築を外から堪能

美術館の鑑賞は、建物に入る前から始まります。

まず注目すべきは、前庭に展示されているオーギュスト・ロダンの彫刻群です。

特に『地獄の門』と、その一部から独立した『考える人』は、その迫力と表現力で訪れる人々を圧倒します。

1959年に完成した本館の建物全体にも目を向けてみましょう。

コンクリート打ちっぱなしの壁面や、建物を軽やかに持ち上げる「ピロティ」と呼ばれる柱の列は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエの設計思想を色濃く反映しています。

まずは屋外の芸術作品をじっくりと味わい、これから始まる館内での鑑賞への期待感を高めましょう。

STEP2|19世紀ホールから常設展示室への流れ

19世紀ホールは、館内に入って最初に足を踏み入れる、この美術館の中心的な空間です。

三角形の天窓から自然光が降り注ぐ吹き抜けになっており、開放感にあふれています。

このホールから始まるスロープを上がり、回廊式の展示室を巡る構造は、ル・コルビュジエが提唱した「無限成長美術館」のコンセプトを体現したものです。

まるでカタツムリの殻のように、必要に応じて展示室を無限に増築できる設計思想を、空間を歩きながら感じ取ってみてください。

このホールは常設展示室への入り口であり、西洋美術史を巡る旅の起点となります。

STEP3|西洋美術史をたどる常設展の鑑賞

常設展では、中世末期から20世紀初頭までの西洋美術史の流れを、時代を追って鑑賞できます。

この美術館の核である実業家・松方幸次郎が集めた「松方コレクション」を中心に、約6,000点の収蔵品の中から名作が展示されています。

特に印象派のセクションにあるクロード・モネの『睡蓮』は、その壮大なスケールと色彩の美しさで必見の作品です。

教科書で見たことのあるような名画の数々を前に、じっくりと作品と対話する豊かな時間をお過ごしください。

STEP4|カフェすいれんでの休憩とランチ

美術鑑賞の合間には、適度な休憩が必要です。

館内1階にある「CAFÉ すいれん」は、大きな窓から光が差し込む明るい空間で、鑑賞の余韻に浸りながら一休みするのに最適な場所です。

コーヒーやケーキで一息つくだけでなく、展覧会にちなんだ特別なランチメニューも楽しめます。

窓の外に広がる上野の緑を眺めながら、鑑賞してきた作品について思いを巡らせるのも素敵な時間の使い方です。

ここで心と体をリフレッシュし、鑑賞の後半やミュージアムショップでの買い物に備えましょう。

STEP5|ミュージアムショップでのお土産探し

鑑賞の最後に立ち寄りたいのが、本館地下1階にあるミュージアムショップです。

ここでは、所蔵作品をモチーフにした多彩なオリジナルグッズが揃っており、鑑賞の思い出を形にして持ち帰ることができます。

ポストカードやクリアファイルといった定番アイテムはもちろん、図録や美術関連の書籍も充実しています。

ル・コルビュジエの建築に関連するグッズは、デザインに関心のある方へのお土産にも喜ばれます。

ここでしか手に入らない特別な一品を見つけて、今日の感動をいつまでも記憶に残るものにしてください。

国立西洋美術館の基本情報|アクセス・料金・イベント

国立西洋美術館を心ゆくまで楽しむためには、訪問前の情報収集が欠かせません。

特に、開館時間やチケットの予約方法は事前に確認しておくことが大切です

ここでは、アクセス方法からお得な割引制度、館内設備まで、快適な鑑賞に役立つ情報をまとめました。

これらの情報を活用すれば、当日のプランがスムーズに決まり、鑑賞体験がより豊かなものになります。

JR上野駅からのアクセスと所要時間

国立西洋美術館への最も分かりやすいアクセス方法は、JR上野駅を利用することです。

最寄りの出口は「公園口」で、改札を出てから徒歩約1分で到着します

駅を出ると目の前に広がる上野恩賜公園の案内図にも美術館の位置が示されているため、迷うことはありません。

その他、京成電鉄の京成上野駅からは徒歩約7分、東京メトロ銀座線・日比谷線の上野駅からは徒歩約8分でアクセス可能です。

どの路線を利用しても、上野の自然を感じながら美術館へ向かえます。

車で訪れる場合の駐車場事情

車で訪れる場合は、国立西洋美術館には専用の駐車場がない点に注意が必要です。

そのため、周辺の有料駐車場を利用することになります。

上野公園周辺には、「上野パーキングセンター」や「タイムズ上野駅公園口」など、複数のコインパーキングが存在しています。

ただし、土日祝日は上野公園を訪れる多くの人で駐車場が大変混雑し、満車になることも少なくありません。

駐車料金も高くなる傾向があるため、できる限り電車などの公共交通機関を利用して訪れることをおすすめします。

開館時間と休館日の事前確認

訪問計画を立てる上で、開館時間と休館日を公式サイトで確認することは不可欠です

企画展の開催期間やイベントによって、開館時間が延長されたり、臨時で休館したりすることがあります。

特に、展示替え期間は休館となるため、注意しましょう。

せっかく訪れたのに入館できなかったという事態を避けるためにも、出発前には必ず公式サイトの最新情報をチェックしてください。

観覧料金とオンラインチケットの予約方法

鑑賞当日の入場をスムーズにするために、チケットは公式サイトからオンラインで事前購入しておくのがおすすめです

国立西洋美術館の観覧料金は、常設展と企画展で異なります。

企画展のチケットを購入すると、会期中であれば常設展も一緒に鑑賞できる場合が多いです。

高校生以下および18歳未満、65歳以上の方は常設展の観覧が無料です(要証明書)。

週末や企画展の会期末は混雑が予想されるため、オンラインでの日時指定予約を活用すると待ち時間なく入場できます。

活用したいお得な割引制度

国立西洋美術館では、より多くの方に美術に親しんでもらうため、いくつかの割引制度や無料観覧日が設けられています。

特に毎月第2・第4土曜日と文化の日は、誰でも常設展を無料で観覧できる絶好の機会です

この制度をうまく活用すれば、気軽に西洋美術の世界に触れることができます。

これらの日は混雑が予想されますが、費用を抑えて名作を楽しめるメリットは大きいです。

訪問のタイミングが合う方は、ぜひ利用してみてください。

荷物を預けるコインロッカーなどの館内設備

大きな荷物やコートを持っていると、作品の鑑賞に集中しにくいものです。

館内には返却式のコインロッカーが完備されているため、手荷物を預けて身軽な状態で鑑賞を始めましょう

ロッカーは本館1階に設置されており、利用時に100円硬貨が必要ですが、使用後に返却されます。

スーツケースなどロッカーに入らない大きな荷物は、インフォメーションカウンターで預かってもらえる場合がありますので、スタッフに相談してみてください。

貴重品は預けずに、ご自身で管理するよう注意が必要です。

建築ツアーやファミリープログラムへの参加

作品鑑賞だけでなく、より深い学びを求めるなら、美術館が主催するプログラムへの参加がおすすめです。

特に世界遺産である建物の魅力を知る「建築ツアー」は、専門家の解説付きでル・コルビュジエ建築の奥深さに触れられる人気のプログラムです

また、週末には子供向けのファミリープログラムや、学芸員による美術トークなども開催されています。

これらのイベントは、作品や建築への理解を一層深めてくれる貴重な機会となります。

事前申込が必要なものが多いので、興味のある方は早めに公式サイトでスケジュールを確認し、予約することをおすすめします。

まとめ

国立西洋美術館を最大限に楽しむための情報を、この記事で詳しく解説しました。

単に作品を鑑賞するだけではなく、世界遺産であるル・コルビュジエ設計の建物そのものが最大の芸術作品であると知ることが、鑑賞体験を豊かにする鍵です。

背景を知ることで、芸術との対話はより一層深まります。

この記事を参考にすれば、あなたも美術館での過ごし方に迷うことはありません。

ぜひ、自分だけの鑑賞計画を立てて、心に残る一日をお過ごしください。

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