不動産サイトでよく見る「城南エリア」や「城東エリア」という言葉。
どこからどこまでがその範囲なのか曖昧で、物件探しに困っていませんか。
実はこのエリア分け、法律で決まっているわけではなく、皇居(旧江戸城)を中心とした位置関係で分けられているのが基本です。
この記事では、城南・城北・城西・城東の具体的な範囲を地図でわかりやすく解説します。
さらに、高級住宅街や下町といった各エリアの特徴から、家賃相場、住みやすさの違いまでを徹底比較していくので、ご自身のライフスタイルに合った街を見つける手助けになります。
この記事でわかること
- 4つのエリアの具体的な範囲と含まれる区の一覧
- 地図で見るエリアの位置関係と分け方の由来
- 城南・城西・城北・城東の雰囲気や特徴の比較
- 家賃相場やライフスタイルに合わせた最適なエリアの選び方
皇居が基準のエリア分け、城南・城北・城西・城東
東京23区を指す「城南」「城北」「城西」「城東」という4つのエリア分け。
不動産情報サイトなどでよく見かけるこの言葉ですが、実は法律で定められた正式な行政区分ではありません。
この分け方を理解する上で最も重要なのは、東京の中心にある皇居(旧江戸城)を基準にしているという点です。
この慣習的なエリア分けを知ることで、それぞれの街が持つ雰囲気や特徴を大まかにつかむことができ、ご自身のライフスタイルに合った住まい探しがスムーズに進みます。
不動産業界で使われる慣習的なエリア区分
城南や城西といったエリア分けは、法律や条例で明確な範囲が定められているものではなく、主に不動産業界で物件の特徴やイメージを伝えるために使われている慣習的な区分です。
例えば、「閑静な住宅街が広がる城南エリアの物件」のように表現することで、買い手や借り手は、物件情報サイトで探す際にその街の持つおおよその雰囲気を瞬時に把握できます。
このように、エリアごとのブランドイメージを分かりやすく伝えるための便利な言葉として定着しているのです。
このエリア区分を理解することは、膨大な不動産情報の中から希望の物件を効率良く見つけ出すための第一歩と言えます。
皇居(旧江戸城)との位置関係がその由来
4つのエリアの名称は、その名の通り、かつての江戸城、現在の皇居との位置関係に由来します。
とてもシンプルで、皇居から見て南に位置するエリアを「城南」、西側を「城西」、北側を「城北」、東側を「城東」と呼んだのが始まりです。
この考え方は、江戸の城下町が発展していく過程で自然に生まれた地理的な感覚に基づいています。
歴史的な中心地である皇居を基準にすることで、東京の広大なエリアを4つの方角で直感的に理解できる分け方となっています。
地図で見る東京23区と4エリアの位置関係
言葉の由来がわかったところで、実際に地図上で4つのエリアがどのあたりを指すのかを視覚的に確認するのが理解への近道です。
以下の地図と表で、23区全体における各エリアのおおまかな位置と、そこに含まれる代表的な区を把握しましょう。
ご自身が知っている区がどのエリアに分類されるかを見てみると、よりイメージが湧きやすくなります。
| エリア | 含まれる主な区 |
|---|---|
| 城南エリア | 品川区、目黒区、大田区、世田谷区 |
| 城西エリア | 新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区 |
| 城北エリア | 文京区、豊島区、北区、板橋区 |
| 城東エリア | 中央区、台東区、墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区 |
このように地図と一覧で見ると、各エリアがどの区を含んでいるのかが一目でわかり、漠然としていたエリアの範囲がはっきりと見えてきます。
目安となる山手線や環状七号線などの境界線
4つのエリア分けには明確な境界線はありませんが、多くの人が目安として意識している鉄道路線や幹線道路があります。
これらはエリアを分ける絶対的な線ではありませんが、例えばJR山手線や環状七号線などを基準にすると、エリアごとの特徴をより捉えやすくなります。
隅田川や荒川といった大きな川も、城東エリアと他のエリアを分ける自然の境界線として認識されています。
| 目安となる指標 | エリア分けの考え方 |
|---|---|
| JR山手線 | 路線を基準に内側・外側、あるいは東西南北を分ける一つの指標 |
| 環状七号線 | 23区を大きく囲む道路で、区部と郊外の境界として意識される |
| 隅田川・荒川 | 城東エリアと他のエリアを地理的に隔てる自然の境界線 |
ただし、これらの目安はあくまで大まかなものです。
新宿区のように山手線の内側と外側にまたがる区もあるため、参考程度に捉えるのが良いでしょう。
4つのエリアの特徴比較、含まれる区と代表的な街
東京23区を4つに分けたエリアは、それぞれに全く異なる個性と魅力を持っています。
ご自身の価値観やライフスタイルに合ったエリアはどこなのかを考えながら読み進めてみてください。
| エリア | 含まれる主な区 | 特徴・イメージ | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 城南エリア | 品川区、目黒区、大田区、世田谷区 | 洗練された高級住宅街、おしゃれ、治安が良い | 静かで落ち着いた環境を重視する方 |
| 城西エリア | 新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区 | 都心へのアクセス抜群、商業施設が豊富、若者文化 | 通勤・通学の利便性を最優先したい方 |
| 城北エリア | 文京区、豊島区、北区、板橋区 | 活気ある商店街、物価が手頃、庶民的 | 生活費を抑えたい方、地域の交流が好きな方 |
| 城東エリア | 台東区、墨田区、江東区、葛飾区など | 下町情緒、水辺の自然が豊か、歴史・文化 | ファミリー層、地域のイベントを楽しみたい方 |
各エリアがどのような場所なのか、代表的な街や路線を交えながら、さらに詳しく見ていきましょう。
高級住宅街が広がる洗練の城南エリア(品川区・世田谷区など)
城南エリアとは、皇居の南側に位置し、品川区、目黒区、大田区、世田谷区といった区を含むエリアです。
全体的に高台が多く、地盤が安定していると言われる場所が広がります。
落ち着いた雰囲気の閑静な住宅街が多く、所得水準が高い傾向にあるのが特徴です。
おしゃれなカフェやブティックが点在し、洗練された街並みで暮らしたいというニーズに応えます。
羽田空港へのアクセスが良い点も魅力の一つです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 含まれる主な区 | 品川区、目黒区、大田区、世田谷区 |
| 代表的な街 | 自由が丘、二子玉川、田園調布、品川 |
| 特徴 | 落ち着いた高級住宅街、おしゃれな店舗、良好な治安 |
| 主な路線 | JR山手線、東急東横線、東急田園都市線、京急本線 |
治安が良く静かな環境を求める方や、街のブランドイメージを大切にする方にとって、城南エリアは魅力的な選択肢となります。
都心へのアクセスと利便性が魅力の城西エリア(新宿区・杉並区など)
城西エリアとは、皇居の西側に広がるエリアで、新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区などが含まれます。
都心への交通アクセスが良好な点が最大の魅力です。
新宿や渋谷といった日本を代表する巨大ターミナル駅があり、JR中央線や京王線、小田急線など、東西に延びる鉄道路線が充実しています。
若者文化の発信地から緑豊かな住宅地まで、多様な顔を持つエリアです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 含まれる主な区 | 新宿区、渋谷区、中野区、杉並区、練馬区 |
| 代表的な街 | 新宿、渋谷、吉祥寺、下北沢、高円寺 |
| 特徴 | 交通の便が良い、商業施設が豊富、若者文化の発信地 |
| 主な路線 | JR中央線、JR山手線、京王線、小田急線、西武新宿線 |
通勤・通学の利便性を最優先し、都会的な刺激と暮らしやすさの両方を求める方に適したエリアです。
活気ある商店街と暮らしやすさの城北エリア(豊島区・板橋区など)
城北エリアは、皇居の北側に位置するエリアを指し、文京区、豊島区、北区、板橋区などが該当します。
親しみやすく、庶民的な雰囲気が特徴です。
昔ながらの活気ある商店街が多く残り、物価や家賃相場が比較的リーズナブルです。
池袋のような大規模な商業エリアも存在するため、生活コストを抑えながら便利な暮らしを実現できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 含まれる主な区 | 文京区、豊島区、北区、板橋区 |
| 代表的な街 | 池袋、赤羽、巣鴨、十条、大山 |
| 特徴 | 活気ある商店街、比較的安価な物価・家賃、庶民的 |
| 主な路線 | JR山手線、JR埼京線、都営三田線、東武東上線 |
地域コミュニティとの温かい交流を大切にしながら、堅実な生活を送りたい方におすすめのエリアといえます。
下町情緒と水辺の自然が共存する城東エリア(江東区・葛飾区など)
城東エリアは、皇居の東側に広がり、台東区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区、足立区などを含む、4エリアの中で最も多くの区を抱えるエリアです。
隅田川や荒川といった大きな河川が流れ、水辺の潤いを身近に感じられます。
浅草に代表される歴史的な街並みや、お祭りなどの伝統文化が今も色濃く残っている点が魅力です。
近年は湾岸エリアの再開発も進んでいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 含まれる主な区 | 台東区、墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区 |
| 代表的な街 | 浅草、押上、錦糸町、北千住、門前仲町 |
| 特徴 | 下町情緒、歴史的建造物、水辺の自然、大規模公園 |
| 主な路線 | JR総武線、東京メトロ東西線、都営浅草線、東武スカイツリーライン |
人情味あふれる下町の雰囲気が好きな方や、都心にいながらも自然を身近に感じられる暮らしを実現したい方に最適なエリアです。
住みやすさで選ぶ、あなたに合うエリアの見つけ方
4つのエリアの概要を理解したところで、ここからは「住みやすさ」という具体的な視点から、ご自身に最適なエリアを見つけるためのポイントを解説します。
住まい選びで後悔しないためには、ご自身のライフスタイルや価値観と、街の特性を丁寧に見比べることが重要です。
家賃や交通の便、街の雰囲気など、何を優先したいかを考えながら読み進めてみてください。
| 観点 | 城南エリア | 城西エリア | 城北エリア | 城東エリア |
|---|---|---|---|---|
| 家賃相場の傾向 | 高め | やや高め | 比較的安め | 安め |
| 交通の利便性 | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ |
| 街の雰囲気 | 洗練、閑静 | 多様、活気 | 庶民的、温かい | 下町、人情味 |
| おすすめの人 | 落ち着いた環境を求める方 | 利便性と刺激を両立したい方 | 生活費を抑えたい方 | 地域との繋がりを大切にしたい方 |
これらの比較ポイントを元に、ご自身の希望条件を整理してみましょう。
次の見出しから各項目をより詳しく解説していきます。
家賃相場と不動産価値から見る各エリア
住む場所を決める上で、家賃相場は最も現実的な判断基準の一つになります。
エリアによって価格帯は大きく異なり、将来的な資産価値にも違いが出てきます。
例えば、ワンルームの平均家賃相場を見ると、高級住宅街が広がる城南エリアでは10万円を超える物件も珍しくありません。
一方で、城北エリアや城東エリアに目を向けると、7万円台からでも十分に探すことが可能です。
| エリア | ワンルームの家賃相場(目安) | 1LDKの家賃相場(目安) |
|---|---|---|
| 城南エリア | 9万円~12万円 | 15万円~22万円 |
| 城西エリア | 8万円~11万円 | 13万円~20万円 |
| 城北エリア | 7万円~9万円 | 11万円~16万円 |
| 城東エリア | 7万円~10万円 | 10万円~17万円 |
ご自身の予算と照らし合わせ、どのエリアが選択肢になるか、まずは家賃というフィルターを通して絞り込んでみるのが良い方法です。
交通の利便性と主要路線での比較
毎日の通勤や休日のお出かけを考えると、交通の利便性は日々の生活の快適さを大きく左右するポイントです。
特に職場や学校へのアクセスは、最も重視すべき条件の一つと言えます。
新宿や渋谷、池袋といった巨大ターミナル駅へのアクセスのしやすさは、エリアを選ぶ上で大きな判断材料となります。
例えば城西エリアはJR中央線や京王線が東西に走り、新宿へ乗り換えなしでアクセスできる街が多いのが魅力です。
| エリア | 主要な鉄道路線 | 代表的なターミナル駅 |
|---|---|---|
| 城南エリア | JR山手線、東急東横線、京急本線 | 品川、渋谷、目黒 |
| 城西エリア | JR中央線、京王線、西武新宿線 | 新宿、渋谷 |
| 城北エリア | JR山手線、JR埼京線、東武東上線 | 池袋、赤羽、上野 |
| 城東エリア | JR総武線、東京メトロ東西線、都営新宿線 | 上野、北千住、錦糸町 |
ご自身の勤務地やよく利用する駅を起点に、乗り換えの回数やドアツードアでの所要時間を計算し、どのエリアが生活しやすいかを判断しましょう。
街の雰囲気や住環境から選ぶ際のポイント
家賃や路線図といったデータだけではわからない街の雰囲気や住環境は、実際に暮らしてみたときの満足度に直結します。
賑やかな繁華街が好きなのか、それとも静かな住宅街を好むのか、ご自身の性格や休日の過ごし方を想像してみてください。
例えば、昔ながらの商店街での買い物を楽しみたいなら城北エリア、洗練されたおしゃれなカフェで休日を過ごしたいなら城南エリアといったように、エリアごとに特色ははっきりと分かれます。
一度、気になる街を実際に歩いてみると、インターネットの情報だけでは感じ取れない空気感をつかめます。
| エリア | 街の雰囲気 | 商業施設のタイプ | 公園・自然 |
|---|---|---|---|
| 城南エリア | 閑静、落ち着き | おしゃれなセレクトショップ、高級スーパー | 等々力渓谷公園、駒沢オリンピック公園 |
| 城西エリア | 多様、活気 | 個性的な古着屋、大型商業施設 | 代々木公園、井の頭恩賜公園 |
| 城北エリア | 庶民的、アットホーム | 活気のある商店街、百貨店 | 飛鳥山公園、石神井公園 |
| 城東エリア | 下町情緒、開放的 | 伝統的な専門店、ショッピングモール | 上野恩賜公園、葛西臨海公園 |
スーパーの数や品揃え、夜道の明るさ、大きな公園の有無など、ご自身が生活する上で何を大切にしたいかを書き出してみると、選ぶべき街の姿が見えてきます。
ライフスタイルや家族構成に合わせた選び方
最後に、ご自身のライフスタイルや家族構成という視点から、最適なエリアを考えてみましょう。
一人暮らしか、パートナーと二人暮らしか、あるいは子育てファミリーかによって、住まいに求める条件は全く異なるからです。
例えば、子育て世代であれば、公園が多く自治体の子育て制度が充実している世田谷区(城南)や練馬区(城西)などが候補に挙がります。
一方で、都心でアクティブに活動したい単身者であれば、交通の便が良く外食にも困らない新宿区(城西)や豊島区(城北)などが向いています。
一人暮らしの方におすすめのエリア
通勤の利便性を最優先するなら城西エリアや城北エリアが選択肢になります。
中野や高円寺、赤羽などは、都心へのアクセスが良く、駅周辺に飲食店や商店街が充実しているため、生活しやすい環境です。
カップル・新婚夫婦におすすめのエリア
仕事とプライベートのバランスを重視するなら、城南エリアや城西エリアが良い選択です。
少し都心から離れた三軒茶屋や吉祥寺などは、おしゃれな雰囲気と暮らしやすさを両立しており、二人の時間を豊かにしてくれます。
子育てファミリーにおすすめのエリア
落ち着いた住環境と自然を求めるなら、城南エリアや城東エリアが考えられます。
二子玉川や門前仲町などは、大きな公園や水辺の空間が近くにあり、子どもをのびのびと育てやすい環境が整っています。
これからの人生設計も考えながら、長期的な視点で住む場所を選ぶことが、満足度の高い住まい探しにつながります。
まとめ
この記事では、東京23区の城南・城北・城西・城東エリアについて、どこからどこまでがその範囲なのかを地図で解説しました。
このエリア分けは、皇居(旧江戸城)との位置関係で慣習的に分けられていることが一番のポイントです。
- 皇居を中心とした4エリアの分け方
- 城南・城西・城北・城東の範囲と含まれる区一覧
- 高級住宅街から下町まで、エリアごとの特徴比較
- 家賃相場や交通の便で考える最適なエリアの選び方
各エリアの特徴を理解することで、漠然としていた住まい探しの軸が明確になります。
この記事を参考に、ご自身のライフスタイルにぴったりの街を見つけるための第一歩を踏み出しましょう。