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【文学散歩】早稲田で夏目漱石の足跡を辿るモデルコース|歴史と文化に触れる旅

早稲田での散歩は、単に街並みを眺めて歩くのとは一味違います。

文豪たちが作品を紡いだ土地の空気感を肌で感じられる、知的な探求の旅になるのです。

この記事では、夏目漱石の足跡を辿るモデルコースを中心に、ゆかりの地の見どころや文化的な背景、散策の途中に立ち寄れるお店まで詳しく紹介します

この記事を読むとわかること

目次

知的好奇心を満たす早稲田文学散歩の魅力

早稲田での散歩は、単に街並みを眺めて歩くだけではありません。

文豪たちが生きた時代の空気や、作品が生まれた背景を肌で感じられる、知的な探求の旅でもあります。

歴史と文化が息づくこの街を歩くことで、あなたの読書体験はより一層深いものになるのです。

この街には、夏目漱石が紡いだ言葉の重み、近代文学を築き上げた知性の熱、そして今も変わらない学生街の風情が満ちています。

それぞれの魅力を巡ることで、あなたの心に新たな発見がもたらされます。

名作が生まれた漱石山房の空気感

「漱石山房」とは、文豪・夏目漱石が1907年から亡くなるまでの最後の9年間を過ごした邸宅の名称です。

ここは、単なる住居ではなく、数々の傑作が生まれた創作の現場でした。

この場所で、『三四郎』に始まる前期三部作や、近代人の孤独を描いた『こゝろ』、自伝的要素の濃い『道草』など、日本近代文学を代表する作品が次々と生み出されたのです

記念館に再現された書斎やベランダ式回廊に佇むと、漱石が日々どのような思索を重ねていたのか、その息遣いまで聞こえてくるような感覚に包まれます。

作品が生まれた土地の空気に触れることは、文字だけでは得られない深い感動と理解をもたらしてくれます。

日本近代文学を築いた知の集積地

早稲田が文学の街と呼ばれる由縁は、漱石だけにとどまりません。

ここは、早稲田大学を中心に、坪内逍遙や村上春樹といった、時代を代表する文学者たちの知性が交錯した場所です。

早稲田大学キャンパス内には、漱石の師でもあった坪内逍遙のシェイクスピア全訳という偉業を記念して建てられた「坪内逍遙博士記念演劇博物館」があります。

さらに、現代を代表する作家・村上春樹氏から寄贈・寄託された約2万点の貴重な資料が収蔵されている「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」も見逃せません。

明治から現代に至るまで、日本の文学を形作ってきた知の系譜を辿る散歩は、あなたの知的好奇心を刺激する特別な体験になります。

昔ながらの風情が残る学生街の風景

文学の魅力は、記念碑的な建物だけに宿るものではありません。

神田川のせせらぎや、都電荒川線が走るどこか懐かしい風景そのものが、多くの物語のインスピレーションとなってきました。

例えば、面影橋から高田馬場へ向かう神田川沿いの道は、春になると見事な桜並木が広がり、訪れる人々を魅了します。

また、1974年に都内に唯一残ることが決まった都電荒川線の姿は、まるで時間旅行をしているかのようなノスタルジックな気分にさせてくれます。

何気ない街角の風景に、かつて文豪たちが見たであろう情景を重ね合わせることで、早稲田の散歩は一層味わい深いものになるのです。

夏目漱石の足跡を辿る、約3時間の散歩モデルコース

ここからは、夏目漱石が愛した早稲田の街を、ご自身の足で巡る約3時間のモデルコースをご案内します。

文豪が作品を紡いだ場所の空気を感じ、学生街の賑わいと歴史の静けさが交差する道を歩く時間は、日常の喧騒から離れ、思索にふける特別な体験となります。

このコースは、単に有名な場所を訪れるだけではありません。

漱石の生きた時代から現代文学まで、早稲田に流れる知の系譜を辿る、物語性のある散歩道です。

スタート地点の東京メトロ早稲田駅

今回の文学散歩は、東京メトロ東西線の早稲田駅から始まります。

3a出口から地上に出ると、目の前には早稲田通りが広がり、学生たちの活気と老舗の佇まいが混ざり合う、この街独特の空気が感じられます。

まずは最初の目的地、漱石山房記念館を目指して、北へ約10分ほど歩きましょう。

ここから、文豪の足跡を辿る知的な冒険が始まります。

漱石晩年の邸宅跡、新宿区立漱石山房記念館

漱石山房とは、夏目漱石が1907年から亡くなるまでの9年間を過ごした邸宅の名称です。

この記念館は、その跡地に建てられました。

館内では、『三四郎』『こゝろ』『道草』といった数々の名作が生まれた書斎が忠実に再現されています。

書斎のガラス戸から続くベランダ式回廊や、漱石が愛した猫の墓なども見ることができ、文豪がここで過ごした日々の息遣いを感じられます。

漱石が執筆に用いた机に向かえば、作品世界の奥深さに改めて触れることができるはずです。

坪内逍遙博士記念演劇博物館のある早稲田大学

漱石山房記念館を後にして、早稲田大学のキャンパスへと向かいます。

漱石の師でもある坪内逍遙を記念して建てられたこの博物館は、演劇を専門に扱う施設としてはアジアで唯一のものです。

16世紀イギリスの劇場を模したエリザベス朝様式の建物は、それ自体が見応えのある芸術作品です。

館内には、世界各地の演劇に関する貴重な資料が約100万点も収蔵されています。

文学だけでなく、舞台芸術の歴史に触れることで、物語が持つ力を多角的に感じられるでしょう。

江戸の名園の面影を残す甘泉園公園と穴八幡宮

早稲田大学の喧騒から少し離れ、心静かな時間を過ごせる場所です。

甘泉園公園は、江戸時代に徳川御三卿・清水家の下屋敷があった場所で、当時の面影を残す回遊式の日本庭園です。

園内の湧き水がお茶に適していたことから「甘泉園」と名付けられました。

隣接する穴八幡宮は、江戸時代初期から続く由緒ある神社で、静謐な空気に包まれています。

都会の中にあるとは思えないほどの緑豊かな空間で、文学散歩の小休止をとるのに最適な場所です。

現代文学の世界観に触れる早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)

近代文学の道を歩んだ後は、現代文学の世界へ足を踏み入れます。

早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)は、卒業生である村上春樹氏から寄託・寄贈された資料を所蔵・公開する施設です。

建築家・隈研吾氏が設計した独創的な空間は、まるで物語の中に入り込んだかのような感覚を覚えます。

村上氏の書斎を再現したスペースや、約2万枚に及ぶ膨大なレコードコレクションは圧巻です。

併設のカフェで一息つきながら、作品の世界観に深く浸ってみてはいかがでしょうか。

都電荒川線が走る神田川沿いの風景

散歩の終盤は、神田川に沿って高田馬場駅方面へ向かいます。

この辺りは、都内唯一の路面電車である都電荒川線(東京さくらトラム)がすぐそばを走る、風情ある景色が広がっています。

川のせせらぎと、コトコトと走る電車の音を聞きながら歩く時間は、どこか懐かしい気持ちにさせてくれます。

春には見事な桜並木が広がり、多くの人の目を楽しませることで有名です。

移りゆく景色を眺めながら、今日巡ってきた文学の世界の余韻に浸りましょう。

ゴール地点の高田馬場駅

神田川沿いの散策を楽しみながら歩を進めると、終点の高田馬場駅に到着します。

早稲田とはまた違う、賑やかで活気のある駅前の雰囲気を感じながら、約3時間の文学散歩はここで終わりです。

駅周辺には、学生に愛される飲食店から歴史ある老舗まで、さまざまなお店が軒を連ねています。

散歩で得た知的な興奮を語り合いながら、美味しい食事で一日を締めくくるのも良いでしょう。

文学散歩の小休止に、早稲田のおすすめカフェとランチ

文学散歩の途中、立ち寄るカフェやレストラン選びは、散策の満足度を左右する大切な要素です。

知的な探求で満たされた心と体を休めるのにふさわしい場所を選ぶことが、散歩をより豊かな体験にする鍵になります。

ここでは、物語の余韻に浸れるカフェから、学生街の活気を感じる老舗まで、早稲田ならではの魅力を持つ4つのお店を紹介します。

どの店も、早稲田の持つ独特の空気感の中で、散歩の記憶を深める特別なひとときを提供してくれます。

村上春樹の世界観に浸れるカフェ「橙子貓 – Orange Cat -」

店名は村上春樹氏の短編小説『めくらやなぎと、眠る女』に登場するカフェに由来し、店内では氏が所有していた約2万枚のレコードコレクションから選ばれたジャズやクラシックが流れます。

ハンドドリップで丁寧に淹れられたコーヒーを片手に、作品の世界に思いを馳せることができます。

物語の世界から抜け出してきたような空間でコーヒーを味わえば、作品への理解が一層深まることでしょう。

学生に愛される老舗の洋食店「キッチンエルム」

キッチンエルムは、早稲田大学の学生や教職員に長年愛されてきた老舗の洋食店です。

早稲田通りから少し入った路地にあり、どこか懐かしい雰囲気が漂います。

1969年の創業以来、50年以上にわたって変わらぬ味を守り続けています。

名物の「エルム風カツレツ」や「チキンかつ」は、手頃な価格ながらボリュームがあり、多くの学生のお腹を満たしてきました。

活気あふれる学生街の日常に触れながら、心のこもった洋食でお腹を満たす時間は、散歩の良いアクセントになります。

レトロな空間で過ごす時間、純喫茶「ぷらんたん」

ぷらんたんは、昭和の時代から時が止まったかのような雰囲気を味わえる純喫茶です。

早稲田通りに面しており、文学散歩の途中で気軽に立ち寄れます。

重厚な木のテーブルや椅子、壁に飾られた絵画が、1975年の開店当時から変わらない落ち着いた空間を演出しています。

サイフォンで一杯ずつ丁寧に淹れられるコーヒーの香りに包まれながら、読書や思索にふけるのに最適です。

文豪たちが生きた時代の空気を想像しながら静かに思考を巡らせるのに、ふさわしい場所です。

地元で人気のベーカリー「パン・デ・フィロゾフ」

パン・デ・フィロゾフは、「哲学者のパン」という名を持つ、探究心にあふれたパンが並ぶベーカリーです。

神楽坂に近い立地で、多くのパン好きを惹きつけています。

シェフの榎本哲氏はフランスでの修行経験を持ち、国産小麦と自家製酵母を使用して焼き上げるパンは、深い味わいと香りが特徴です。

看板商品の「アルファ・バゲット」や、曜日限定のパンを求めて行列ができることもあります。

散歩の途中で購入したパンを甘泉園公園などで味わうのも、早稲田ならではの楽しみ方です。

文豪たちが愛した学生街、早稲田の歴史と文化

夏目漱石がこの地を選んだのは、偶然ではありません。

早稲田には、江戸時代から続く学問の系譜と、近代文学を育んだ独特の土壌があります。

散歩コースを歩く前に、この街が持つ文化的な背景を知ることで、目にする風景は一層味わい深いものに変わります。

歴史の息吹を感じながら歩けば、文豪たちが愛した理由が見えてくるでしょう。

この街の歴史や、漱石以外の文豪たちの足跡に触れることで、あなたの早稲田散歩は、単なる街歩きから知的な探求の旅へと変化します。

江戸から続く教育と文化の中心地としての歴史

早稲田が「学生街」として知られるようになった起源は、江戸時代にまで遡ります。

この地は、武家屋敷が点在する比較的閑静な地域でした。

その環境が、後の学問の府としての発展につながっていきます。

明治時代に入り、1882年に大隈重信が東京専門学校を創設したことが、教育と文化の中心地としての早稲田を決定づけました。

この学校が現在の早稲田大学となり、多くの学生や知識人が集まるようになります。

そうして形成されたアカデミックな雰囲気が、文学者たちを惹きつける魅力の一つとなったのです。

夏目漱石以外の文豪ゆかりのスポット紹介

早稲田の文学的な魅力は、夏目漱石だけにとどまりません。

日本の近代文学を形作ってきた、多くの才能がこの地に集いました。

例えば、坪内逍遙(つぼうち しょうよう)は、漱石を講師として東京専門学校に招いた師であり、日本の演劇界に大きな影響を与えた人物です。

早稲田大学キャンパス内にある「坪内逍遙博士記念演劇博物館」は、彼の功績を伝える貴重な場所です。

また、現代文学を代表する村上春樹氏も早稲田大学の卒業生であり、彼の世界観に触れられる「早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)」は、新しい文化の発信地となっています。

これらのスポットを訪れると、早稲田が時代を超えて文学者たちの創造性を刺激し続けてきた土地であることを実感できます。

桜や紅葉など四季折々の散歩道の見どころ

文学散歩の楽しみは、歴史的な建造物や資料に触れることだけではありません。

早稲田の街は、都会の中にあって豊かな自然も魅力の一つです。

季節の移ろいを感じながら歩くことで、散策はより心豊かな時間になります。

特に春には、神田川沿いに約2kmにわたって続く桜並木が圧巻の美しさを見せます。

川面に映る桜を眺めながら、都電荒川線が走る風景は、まるで映画のワンシーンのようです。

秋には甘泉園公園や大隈庭園が紅葉に染まり、静かで落ち着いた雰囲気の中で思索にふけるのに最適な場所となります。

訪れる季節によって全く違う表情を見せるのも早稲田の魅力です。

ぜひ、季節を変えて何度も足を運んでみてください。

都電荒川線で巡るノスタルジックな旅路

早稲田の風景に欠かせないのが、ゴトゴトと音を立てて走る路面電車です。

都電荒川線(東京さくらトラム)は、現在東京都内に残る唯一の都電であり、そのレトロな佇まいは多くの人々に愛されています。

一日乗車券(大人400円)を使えば、気軽に途中下車しながら沿線の風景を楽しめます。

早稲田停留場から乗車し、学習院下停留場で降りて神田川沿いを歩いたり、鬼子母神前停留場で降りて歴史ある参道を散策したりと、散歩の幅が広がります。

車窓から眺める街並みは、歩いている時とはまた違った発見をもたらしてくれるでしょう。

まとめ

この記事では、夏目漱石の足跡を辿るモデルコースを中心に、早稲田の文学的な魅力を詳しく解説しました。

単なる街歩きではなく、文豪が作品を生み出した土地の空気感を肌で感じられるのが、この散歩の最大の魅力です。

このモデルコースを手に、次の休日はあなたも早稲田の街を歩き、文豪たちの息遣いを直接感じてみてください。

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